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懐かしい父に逢えた! [エッセイ]

 梅雨の晴れ間に咲く紫陽花の花の色も、日増しに濃くなっていくようです。

ぼんやりと眺めていると花にまつわる昔のことを思い出したりして、時間が

ゆっくりと過ぎていきます。

 そこへ古い友人のHさんから電話がかかりました。本当に久しぶりです。

 お互いの近況を知らせ合い、ひとしきり話が弾んだのち

「古い話だけどね」とHさんが切りだしました。

 彼女は私より四歳くらい年上で、仕事関係で若い時知り合ったのです。

 私の父とHさんの会社の社長が親友で、仕事上も関連があってよく来たので父の

こともよく知っているというのです。


 さてHさんの話は昔、時々職場に来る父はいつもにこやかで静かなのに話しだすと

博識でユーモアがあって、ついみんなが仕事の手を止めて聞き入ったこと。

 事務所の看板を書き換えを社長が頼んだ時も突然のお願いなのに、太い筆に

たっぷりの墨で達筆で堂々と書いたこと。

 たまに娘の私の話をするときは「可愛くてたまらん」という顔をしていたこと。

 そうそうお昼の時間に来ることが多かったけどいつもアンパンをひとつぶらさげて

いたこと。

 最後にHさんが今でも残念に思っているのは忘年会風邪で出席できなかった時

翌日同僚たちが口をそろえて、父が躍った安来節がどんなに面白かったか、涙ながらに

話してくれたこと。そしてその踊りをとうとう見なかったこと。


 私は聞きながら涙が出そうになりました。

 家庭以外での私の知らない父がそこにいました。

大好きな父でした。元気だっ父は病に倒れ五十九歳で逝ってしまいました。

 私はこの時の悲しさ悔しさを今でも忘れられません。

 市内でも大きなお寺での会社葬、何百人もの会葬者、延々と続く弔辞。道路まではみ

出した花輪の列。

 立派な葬儀も私にとってはただただ恨めしいだけでした。

 私は父のことを書き留めて置きたいと何度もペンを取りました。

三行 五行 半べ―ジ でもどうしても書けませんでした。何年経っても駄目でした。

 涙の跡が沁みたノートは今でも手元にあります。


 Hさん有難うございます。今日は本当に嬉しかったし楽しかったです。

私は心から大きな声で言い受話器の向こうに最敬礼です。

 「私昨夜貴女のお父さんの夢を見たのよ。どうしてかしらね。」

 Hさんが最後にポツリと言いました。

 ええ私の所へもずっと来ないのに何故? 私 嫉妬に狂いそうです。
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コメント 4

みかん

danさんのお父様 早くに亡くなられたんですね。
私の父は62歳で17年前に逝ってしまいましたが
生きていたらどうだっただろうと思います。
こういうお話を伺うと 自分も父のことを
改めて思うことができます。
Hさんにお父様の話しが聞けて良かったですね^^

by みかん (2017-06-22 11:24) 

dan

有難うございます。
みかんさんもお父様と早く別れたのですね。
私と同年代残念です。お母様を大切にしてあげて
下さいね。
by dan (2017-06-22 22:51) 

リンさん

ステキなお父様だったのですね。
私の父は自伝のようなものを書いていて、今は父の妹である叔母が読んでいて、そのあとゆっくり読もうと思います。
by リンさん (2017-06-24 10:38) 

dan

有難うございます。
私って案外寂がりやで、いい年をして今でも
父が大好きなんです。
お父様の自伝いいですね。父も日記を沢山残して
います。
by dan (2017-06-24 15:21) 

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