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浅草寺に年の瀬のご挨拶


 平成二十七年も残すところあと三日。

今年は私にとっては予想だにしなかった最悪の年となりました。

元気なだけが取り柄、年はとってもそれが一番! と元気印を自負していたのに

四月思いもかけぬ大病にびっくりポン! 

 冗談じゃないよ。何の自覚症状もないのに.....ぶつぶつ文句を言っているうちに

入院、ああ~お産以来。でもお陰さまで結果オーライ。

 あれから八カ月が経過して、もうすっかり元気なはずなのに、毎日割にしんどい

と思う日々。同年輩の友人は「もう年だから、私らみんなしんどいんよ。あなたが

しんどいと言わないのが不思議だった! 」と。

 折角東京にきたのにあまり出掛けたいとも思わず、買い出し以外は終日マンション

に籠ってぼんやりしています。

 ふと考えました。毎年年末上京したら、親友と二人で必ず浅草寺にお参りしたのに

昨年はそして新年にも浅草寺に行かなかったと。

 そのせいでもないけれど、私は病気、親友は旦那様の介護とエライ年でした。

 そしてうらうらと小春日和の昨日、二人で去年の分までと浅草寺に向かいました。

大勢の参拝の人たちと参道をゆっくり歩いて、お線香の煙もたっぷり全身に!!

そして心をこめて長々とお祈りしました。

 人形焼、雷おこし、あんみつ、浅草土産も買いました。

 一昨年の年末浅草寺にお参りして、名物の天丼を食べながらもうこんなに沢山は

無理だね。と話合ったのを思い出し、年は取りたくないねえと小さなお店で気の進ま

ないまま味気なくパスタを食べました。

 帰りに上野の素敵な喫茶店で美味しいコーヒーとケーキを頂いてやっと笑顔の

二人でした。

 
 今年も一年拙いさくらんぼ日記をご訪問下さった皆様に心からお礼申します。

どうか健やかに良いお年を迎えられますように。

 新しい年にお会い出来るのを楽しみにしております。

 私も体調を整えて来春からまた頑張れたら嬉しいと思っています。

 有難うございました。
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たまゆら自然公園にて

やって来た電車に飛び乗り、行く先も考えずに小さな駅で乗り換えとうとうこんなに
来てしまった。
小さな温泉街のある駅に降り立ち、そこからからタクシーに乗った。
「どちらへ」
運転手に言われて
「あのこの辺りに雑木林を流れるきれいな川があると聞いたのですが。」
景子は自分に言い聞かせるように落ち着いた声で応えた。運転手に不審に思われ
ては困るのだ。
「ああ、たまゆら自然公園のことですね。はい分かりました。」
えっそんな公園があるのだと景子は少し安心した。とともに苦笑した。
「時間かかりますか」
「いいえ十五分ほどです。辺りの景色を見ながらのんびり歩くのも風情があって、旅
の人には人気なんですよ。バスもありますし....」
運転手はくったくもなく商売気のないことを言う。バスもあったのだ。

駅前で少し様子を見ればよかったと景子は今更のように自分を見失っていたことに
気がついた。
 初冬の自然公園は景子の予想をはるかに超えて素敵な景色が広がっていた。
遥かに霞んで見えるのは名も知らぬ山、頂きには雪がうっすらと積もっている。
雪もよいの風がほほに冷たい。
 すっかり葉を落とした雑木林は所々雪が残り、散策する人影もちらほら見える。
景子は身の引き締まるような自然の中で、固くいじけていた自分を少しづつ取りも
どすことが出来そうな気がしてきた。
 ふと見ると足元の芝草に雪が凍りつき、かすかな日の光にきらきら輝いている。
林の中を流れる川の水は薄い藍色に澄み、空の雲を映してゆっくりと流れている。
 
 私が悪かったのかもしれない。景子は小さな不安を感じた。

 一週間前の夜大学時代からの親友である葉月から電話がかかった。
「景子お久しぶり元気にしてる?」
彼女にはしばらく会ってはいない。
「あら珍しいね。元気だよ。」
「あなた笙君とはうまくいってるの?」
久し振りで他に話は一杯ある筈なのに、葉月の言い方は景子には詰問のように
聞こえた。
「うん、変わったことはないけどどうして」
景子と笙はあるコンサートで席が隣同士になり、それがきっかけで親しくなった。
偶然景子が大学の後輩だったことも、二人が一気に親密になった原因だ。
つきあって三年目くらいにお互いの意思を確認し、将来は結婚するつもりだった。
あれからまた二年近い時が流れたが、二人に焦る気持ちもなく笙は銀行の営業
景子はデパートの企画部で働きお互いに充実した毎日だった。
休みの日にはコンサートや小さな旅もした。電車で一駅離れた所に住んでいるの
で、何かあればすぐに飛んで行けた。
 そんな二人の関係を葉月は不自然だと言い、早く結婚しなさいといつも言った。
 葉月は職場の同僚と結婚して二歳になる女の子がいる。最初は景子のことを
羨ましい思いでみていた。お互い信頼し合い認め合って、将来の約束はした上で
青春を謳歌している風にみえたから。
「実はね、私土曜日変な所で笙君にあったの。ううん向こうは気が付いてないから
会ったのじゃなくて見ちゃったのよ。」
土曜日笙は確かに銀行のレクでどこかへ出かけるといっていた。そういうことには
お互い無関心た゜ったからああそう、景子にはその程度のことだった。
でも葉月にそう言われると気になった。
「へえー何処で彼に?」
「それが私たちね、珍しく一緒に休みがとれて伊豆の温泉に行ったの。そこの名物
蕎麦屋さんで、可愛い女の子と一緒の笙君見ちゃった。」
なーんだと景子は思った。銀行の同僚でしょう。お蕎麦くらい一緒に食べるよ。
「葉月有難うね。今度笙君に聞いてみるよ。貴女もちょっと声を掛ければよかった
のに」
あまりにあっけらかんとしている景子の様子に、葉月は二人が恋人のように寄り添
って、とても親密そうに見えたとはどうしても言えなかった。
「とにかくあなたたちいい加減にしなさいよ。すぐにでも結婚しなさい。」
命令口調でそういうと葉月は電話を切った。
 一週間ほどしてから笙に会った時、景子はこの間の会社のレクは楽しかったかと
聞いた。一瞬笙の目が泳いだのを景子は見逃さなかった。
「うーんいつもと変わったこともなくて、でも温泉は手足を伸ばせたかなあ。」
笙はもう何事もなかったような普段の顔に戻っていた。
「ねえ葉月が伊豆の温泉で笙を見たと電話してきたのよ。可愛い女の子と一緒だっ
たって。」
「葉月さんが....それなら声をかけてくれればよかったのに。一緒にいたの銀行の人
だよ。」
「うん私もそう言っといたよ。」
景子はそう言ってこの話は終わった。
 数日後景子は仕事で遅くなって会社を出た時、このまま家に帰るのは寂しい気が
して笙のマンションに寄ってみようと思いたった。
もう十一時近い時間で、少しためらう気もあったが、チャイムを押した。すぐに応答が
ない。部屋には電気がついているが笙はまだ帰ってないのかもしれない。電話でも
すればよかった。勿論合鍵はもっている。でも何だか今夜はその鍵で中にはいるの
がためらわれた。
 景子は翌日朝暗いうちに笙に電話したが、留守番電話の声が冷たく聞こえてきた。
仕事中にも何度も電話をしたのに、一度も通じない。こんなことは長い付き合いの中
で初めてのことだ。最初は腹立たしかったのが、だんだん心配になって来た。
 そしてやっと夜になって笙から電話が来た。
「ごめん。得意先でトラブルがあり電話にでられなかった。急用だったの。」いつもと
変わらない笙の声を聞いて景子は拍子抜けがして笑うしかなかった。
 割り切ったつもりだったが、マンションを訪ねた夜のこと、電話が通じなかった一日
のことなどと相まって、時が経つにつれて景子は不安になった。
 今夜は会いたいという景子に笙は仕事で少し遅くなるから食事は済ませて行くとの
ことで十時過ぎにやって来た。
 景子はお茶を勧めながら、単刀直入に切り出した。
「笙、この間の葉月の話のことだけどあれから考えちゃった。一緒にいた人って本当
は誰なの。」
言いながら景子は情けない気持で胸が苦しくなった。今まで一度だってこういうふうに
笙をみたことはなかった。
一瞬のうちに笙の表情が様々に動いた気がした。
「ごめん。言い訳はしない。でも今は本当に後悔している。」
それだけ言って真っ直ぐ景子を見つめる彼の目に嘘はないように思えた。でもこのま
ま笙といることが辛かった。 
黙って家を飛び出した景子はまっすぐ駅前のビジネスホテルに駆けこんだ。
 そして次の日、行く先も考えずにやって来た電車に乗ってしまった。

 足元からそろそろと冷たさが伝わって来た。草紅葉も木漏れ日を受けて光っている。
景子は青い青い空を仰いで深呼吸をした。山の空気は甘くて冷たくて胸の奥まで入り
こんできた。
自然は大きくてゆったりしている。ああ人間世界のなんとみみっちいこと。元気が出た
よ。さあ笑って笙のところへ帰ろう。
 林の中を一瞬暖い風が吹き抜けていった。




  
 
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東京の端っこから [随筆]

 二十日ほど滞在した東京ど真ん中から、端っこに来て早二週間になります。

ここに来るとなんとなく落ち着いて、少しほっとしてしまいます。

 晴れた日の朝には雪に輝く白い富士山が、小さいけれどはっきり見えます。

日の暮れには茜色の光の中に赤富士とまでは言えませんが、美しい姿を見せ

てくれます。

 ここでは昼間は一人暮らし、一言も喋ることなくパソコンに向かい、テレビを

見て、スーパーや商店街をうろつきます。

 私は本当に駄目な人で、一人では何も出来ません。だから一人でぶらぶら

するのも精々一時間、お茶も食事も外では出来ません。

 ここにきて一番嬉しいのは、六十年来の親友が近くにいることです。私は暇

だけど彼女はそうはいかないので、あちらの都合のいい日に声がかかります。

 昨日も会いました。隣町のいつも行く喫茶店、コーヒーのお代わりОK、いち

ごショートも美味しかった。

 私たちの出会いは私が中学二年の秋転校した時です。同じクラスではなか

ったのに、美人で優秀なのに物静かな彼女に一目ぼれしてしまいました。

 話しをするチャンスもないまま冬休みになり、市内の家庭科の先生の研修会

が私たちの学校で開かれました。

 その時何人かの生徒がお手伝い係に指名されました。この説明会の時に

たまたま彼女と隣り合わせの席になりました。私はチャンスだと思ったのに

当然話しかけたりは出来ません。ただ私は彼女をみて精いっぱいの笑顔を

送りました。

 そのまま会は終りしょんぼりと席をたった私に「一緒に帰ましょう。同じ方向

でしょう。」と彼女が声をかけてくれました。

 三年生になってクラスが同じになった時の嬉しさは、今でも忘れられません。

同じ高校に進んでも同じクラスになったことはありません。でも三年間毎日

小さなお守り袋ほどの封筒に入った手紙が、二人の間を行き来しました。

 この友情は二人が結婚をして離れ住んでも続きました。若い頃は数年に一

度は大体私の家族が出てきました。

 それぞれの家庭の大変な時期二十年ほどは、年賀状だけの期間もありま

したが、二人は何かにかこつけて会う算段をしました。

 子供に手が掛からなくなった四十歳を目前に、偶然二人ともフルタイムの

仕事に着きました。

 私は約二十年働いて、その後は夫と二人で子供たちのいる東京に最低

年一回は出て来てしばらく逗留しました。その時は彼女を誘って三人で

あちこち本当によく歩きました。

 夫が最後に東京に来た八年前の三月も、湯島天神の梅をバックに私たち

二人で写っている素敵な写真は彼女が撮ってくれました。

 思い出は尽きなくて、彼女といるといつまでも一緒にいたいと思ってしまい

ます。

 でも彼女は子供さんたちのいるこちらで人生を全うするでしょう。

そして私はやっぱり自分の家、彼の大好きな庭の木々や花々を愛でつつ

自由気ままに生きることになりそうです。

 東京の端っこから、つい思い出話が飛び出しました。

 十二階の斜め下に見えるお寺の大きな銀杏の葉っぱが、日ごとに色濃く

なって行くのが冬近しを感じさせます。
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