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2017年03月31日| 2017年04月13日 |- ブログトップ

桜 さくら サクラ [エッセイ]

 このところ朝は体調イマイチで、食欲もないし元気もありません。

その上春爛漫の四月というのに毎日雨が降ったり止んだり憂鬱この上ないのです。

 でも今日は違います。いつもより早く起きだして珍しいお日様の顔を見てにんまり。

 そうです。今日はお花見ドライブに出かけるのです。

 昨夕珍しい人から電話が入りました。

「突然だけど明日はお天気良さそうだからお花見に行きませんか。明日を逃したら

もう今年は桜見られないと思うから。」

 声の主は私の若い友人、十余年も前に我が家を本格的にリホームした時の担当者

Мさん。

 見積りから最終完成までお世話になりました。

私たちの希望を聞いて、フローリングの木目や色、建具、照明器具など三人で展示場

などへ出かけて納得のいくまでお付き合いしてくれて、思う通りの家が出来ました。

とにかく若いのにてきぱきと仕事は完璧で、人柄も見た目も文句のない女性です。

 こうなると私たち夫婦が考えることは同じだったみたいで、一人っ子だと聞いた時は

「ご両親県外へはださないよね。」「貴女は東京好き?」「彼はいるの」しかしМさんの

年齢が思ったより若いことが判明し、私たちの妄想は残念ながら立ち消えとなりました。

 工事が終わるまでの約五か月Мさんも私たちのことを気に入って下さって、とても

好い人間関係を持つことが出来ました。

 工事が終わってからも「不具合はないですか」と電話が来たり近所まで来たのでと

立ち寄ってくれたり、優しい心遣いを本当に嬉しく思っていました。

 その後Мさんは結婚退職されました。でも二年ほどしてまた復職しましたと知らせが

ありました。

 数年後夫が亡くなった後暫らくして、知らなくてごめんなさいと、きれいなお花を

持ってお参りに来て下さったこともありました。

 昨年久し振りに偶然出会って懐かしさに話が弾みました。

「あんなに優しい旦那様だったのにお一人で寂しいでしょうね」Мさんは言いました。

「何か私にできることないですか」

  私はその心根の優しさに、お気持ちだけで嬉しいと答えました。


 十一時すぎМさんが颯爽と大きな車でやってきました。

「有難うね。私なんかと行くより旦那様かお友だちと行ったほうが楽しいでしょうに」

「はい、それもいいけど私この前お会いした時から考えてはいたのですよ。桜が咲いたら

danさんをお誘いしょうと。もっと早く気がつけばよかったのに。」

 行く先は旦那様が見つけて教えてくれたとか。いい方と結婚されたのだと私は安心して

見知らぬ旦那様にも有難うと心の中で呟きました。

 少し遠出になりますとのこと望むところです。

 市内の堀端の桜並木も、城山の中腹に点在する桜も満開で本当にきれいです。

 郊外に続く道路から見える川にそった公園の桜も見事でつい歓声をあげてしまう私。

久し振りのことでで話すことはいっぱいあるのに私のお喋りも止まりがち。

 遠くに高い山の峰が見えて少しづつ山道に入ります。ここが通称桜三里です。

くねくねと曲がりくねった道、高速道路が出来て交通量が半減した国道ですが、桜の

季節は別です。道を廻る度に桜の古木が次々に現れてそれも満開。目の下の谷川にも桜。

 ここは夫の実家に続く道でもあり、私にとっては一入の思いがあります。

二、三十分のこの道があっという間だっだような気がしました。

 目的地に到着しました。ここは個人所有の山だそうですが、地主さんのご厚意で桜の

季節には一般に開放されて、知る人ぞ知る桜の名所だということです。

 本当に全山桜と言いたいほど見事でした。風に散る花びらは吹雪というほどでもなく

それでも風情があり、平日ということもあって人も少なく静かでした。

 私たちはここでお弁当を食べました。デパートでМさんが買ってきて下さった花見弁当。

 好き嫌いの激しい私のために彼女が気を使ってくれたのが一目でわかりました。

遠くの山は春霞の中、真っ青の空とその空を隠すように満開の桜の白い花。そして時に

行き過ぎる春風の心地よさ。まさに至福の時でした。

 ここで食べたお弁当が美味しかったことは言うまでもありません。

 「ああ今日は楽しかったよ。私生きていてよかった。有難うね。」大げさでなく私は

心の底からそう思いました。

 「そんなに喜んでいただいて嬉しいです。私も楽しかったですよ。また来年も桜見に

いきましょうね。」

 Мさんの笑顔から優しさが伝わってきて、うるうると。私も年とったなあ....実感。

 帰りはすいすい。峠で見つけた喫茶店で一休み、美味しいコーヒーを頂きました。

 我が家に着いたのは四時過ぎ。ああなんと楽しい嬉しい今日一日。

 又会いましょう。手を振って帰って行くМさんの車が見えなくなってもそこに立ち

尽くして、いつまでも桜の余韻に浸っていたい私でした。

 夜になって夫にいつものお参りは少し長くなってしまいました。

私のお花見の報告が嬉しくて、ついそうなったに相違ありません。

「ああぼくも一緒に行きたかったなあ。Мさんの奥様振りも見たかったなあ。そして

いっぱいいっぱいお礼も言いたかったなあ。」

 私には夫の声がはっきりと聞こえたように思えました。

 今夜はもしかして満開の桜に誘われて.....。

 


  

 

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