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青春の日よふたたび! [随筆]

 朝からすっきりと晴れ渡り柔らかな秋の日差しが降りそそいでいます。

昨日までの雨模様が嘘のよう。

 今日は年に一度の「マドンナ会」いまから半世紀も前ともに机を並べて

仕事をした職場の仲間たちが集う日です。


 役所の外郭団体の財団法人として発足以来六十有余年、その変遷は

激しくて、今はその名も変わり事業は細々と続いているものの、人手に

渡りながらも姿を残していた事務所ビルも、とうとう取り壊されて昨秋から

マンションが建てられています。


 昭和三十年頃、女性は定年まで勤める人は珍しくて、四、五年働いて

年頃になると結婚退職していた時代です。


 そして二十数年前、退職した人たちが子育ても終わり、少しゆとりも出

来たからと、誰からともなく話が出て女子だけの退職者の会ができました。

 最初は二、三年に一度の割合で開催して、出席者も多く昔話に花が咲く

楽しいひとときを過ごしていました。

 しかし時が過ぎ親の介護から配偶者の世話へと忙しくなり、ついに自身の

健康も危うくなった数年前から、「生きているうちに会いたい」という年長者の

意見に賛同して毎年の開催となりました。


 昨年十回目の区切りのいい所で、もう止めようかということになった時、そう

大袈裟に考えずに、気軽に集まって食事してお茶でも飲む会にしたらどうかと

いう意見に皆が賛同して今年を迎えました。

 簡単に電話で出欠を聞き、十人位はあつまるかなあ、と心配していたのに

何と昨年とほぼ同数の十六人もの出席者。

 一見みんな元気そうで、八十六歳を筆頭に七十二歳までの仲間の笑顔です。

 近況報告も生き生きと、家に籠っている人は殆どいません。

 料理囲碁、フラダンス、コーラス、カラオケ、俳句、短歌、川柳、洋裁、水泳

などなど。

 
 それでも「お薬は飲んでいますー」と誰かが言ったので爆笑となりました。

 
 その昔の職場の様子は忘れかけていても、ひとつ糸口が見つかって誰か

が話出すと、皆がああそうだったと一瞬で花の働く乙女に立ち戻るのです。


 二時間半の会食が終わっても名残惜しくて誰も席を立ちません。

 幹事さんの機転で近くのカフェに席を移すことになりました。所用があった

二、三人除いて皆が移動しました。

 ここでまた一時間余り、お喋りは尽きることなく続きました。


 楽しい時の過ぎるのは早く、また来年を約束して家路に着く頃は、暮れ易い

秋の日も傾きかけて、暖かい思い出を又一つ積み重ねた私たち仲間を、優しく

見送ってくれているようでした。 

 
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高原の町はもう秋模様 [随筆]

 文化の日は晴れる! 本当に美しい朝の空を見上げて溜息ひとつ。

何の予定もないこんな日は寂しくて切なくて恨めしい。

 若い時は祭日など家に居たことあったかしら。ずっと前から計画して、兎に角

出かけました。

 あの頃一緒だった家族も遠く、友も今はもうそんな元気はないのです。

 家事も一通り終わってごろんとしていた十時過ぎ電話が鳴りました。

「お久しぶりです、元気にしてますか。」一年振り位に聞く懐かしい友の声です。

 あまりにいい天気でドライブでもしょうかと思うのだけど一緒に行きませんか。

どこへでも行きたいところがあったら言って下さいとのこと。

 夢ではないかと思うくらい嬉しくて、「行く行く何処でもいいから連れていって。」

三十分したら迎えに来てくれるとのこと、私は大慌てで支度をしました。
 
 海でも川でも街でもと言うことでしたが、考えた末二時間足らずで行ける高原の

町にいくことにしました。


 彼女は年が一回り以上も若い友だちで、人柄も素敵な上に国立病院の看護師

として頑張り昨年定年退職しました。今は医療専門学校の教師として新しい仕事に

張り切っています。

 運転の腕前ももなかなかのもので、久し振りのことで喋り続ける私の話も笑顔で

聞いてくれるのです。


 街を過ぎてくねくねと峠に向かう坂道もすいすい、鬱蒼とした杉の林や松林を通り

ぬけて視界が開けると風にそよぐ銀色のすすきの原が続きます。

 咲き残ったこすもすの花もあちこちに見えて、ご機嫌な私。

 眼下の谷底から目を移すとはるかに光る海も見えて、ドライブも最高潮です。

 まだ紅葉には早いようでしたが、所々には少し色づき始めた紅い葉も見えて

秋の風情を感じることもできました。

 山際の小さい流れは落ち葉と木漏れ日を乗せてゆるゆると流れ、透き通った

水は手が痛いほどの冷たさでした。


 到着した町の真ん中は、はさすがに人が溢れ道の駅や物産館は活気に満ちて

いました。

 私たちも地元の野菜や果物や山の清水で育ったという新米買いました。

 食事をしたり、コーヒを飲んだりのんびりと高原の町で秋を楽しみました。


 思いがけなく楽しい一日を過ごさせてくれた友の優しさを、本当に嬉しく思うと

共に、持つべきものは友だち....と感じ入った私です。

 「またね」にこにこと手をあげて帰って行った友の車を、感謝の気持で見送り

ました。

 もうすぐ本当の秋を連れてきそうな風が、やさしく足元を通り過ぎて行きました。
  
 

 


 








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霜月にひとり [随筆]

 九月初めから咲き継いできた秋明菊の最後の二輪が散りました。

霜月の声を聞いた途端に秋が来たようです。

 空はどこまでも高く澄み渡り、吹く風も時には冷たく通り過ぎていきます。

 一日は夫の祥月命日です。偲び偲びつつ早くも九年、随分元気になった

私ですが、年を経て彼よりもはるかに年上になってしまいました。

それでも大好きなお花をいっぱい持ってお墓へ行きました。

 毎月のことなのにやっぱりいつもと違う気がして手を合わせると様々な

感慨が胸をよぎります。

 何かある度にここに彼がいたらと何度思ったことでしょう。寄り添って歩く

同年配の二人連れが羨ましくてつい目をそらしてしまう自分を可哀そうにと

慰めている自分。

 月日を重ねても決して遠くならない夫のことを、それでいいのだと言い聞かせ

ながら、ひとりで歩いていくしかないのです。


 幸い私には二人のいい思い出が沢山あります。後ろ向きた゜と言われても

これは私の特権だと思っていつでもそこに逃げ込みます。

 そこには若かったふたり。子育てに悪戦苦闘していた頃の。単身赴任地から

電話でお互いの様子を話合った頃の。子供たちが巣立ち心おきなく好きな

趣味に没頭していた頃の。そして突然の病に倒れ、想像だにしなかった早い

別れの日までのふたりだけのわが家での一カ月。

 私の脳裏には、その時々の幸せなふたりの姿が鮮やかに甦ってきます。


 静かな霜月の夜です。叢雲に月の姿はみえません。

 





 
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金木犀やっと色づきました。 [随筆]

 朝玄関を出るとあの懐かしい香りが風とともに。

三日前には目を凝らさないと見えぬほど花は緑色。今年は金木犀が咲くのが

遅いと感じていました。
 
 酷暑と長雨、朝晩の気温の高低の激しさに植物だって調子狂うよと、ご近所と

話していました。

 それが今朝ほんのりと薄黄色に色を置き秋の香りをいっぱいに。

 私の好きな十月、庭では雨上がりが嬉しいのか小鳥の声もしています。

 十月は夫の生まれた月、彼もきっと自分の生まれ月を気に入っていたのだと

思います。

 その証拠にその十月を精一杯生きて十一月一日未明に旅立ちました。

そして私は十月が嫌いになってしまいました。

 でも時が経つにつれて、私たちの大切な人生の区切りの出来ごとも十月が

多かったことを思い出しました。

 そしてまた大好きな十月が戻ってきたのです。

 その十月もあっと言う間に半分終わってしまいました。

 黄金に実っていた稲もいつの間にか刈り取られ、背の高い鷺たちが落ち穂を

ついばんでいるのでしょうか、刈田をのんびり歩いています。

 毎日のウォーキングが終わる頃、西に沈む入り陽の美しいこと。不気味なまでに

紅い大きな太陽、少し曇っている日は濃い灰色の雲の中に沈んでいくその赤色に

魅せられて、毎日見ているのについ足を止めてしまいます。

 夜の月を楽しみに愛でていることは言うまでもありません。

 
 一人暮らしで、老老介護の苦労もなく、ただぼんやりと一日を過ごしている私は

贅沢といえば贅沢かも知れないと、ふと思うこともあります。

 しかしその代償は....と思うと失ったものの大きさに気がつき.....堂々巡り。

 これも私の人生なのだから仕方なし。もう少し頑張ってみましょうと。


 秋明菊も今最後の花たちが風に揺らいで、さよならを告げようとしています。

 穏やかな昼下がり、開け放った窓から金木犀の香りが忍びこんできます。

 

 
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秋霖  [随筆]

 九月ももう終わりです。

本当によく雨が降りました。出かける予定のない日の雨はどちらかというと好き。

 庭を眺めても雨に濡れた木々は、それぞれの緑を競うように艶々としています。

まるで灼熱地獄のようだった夏の辛さを取り戻しているかのように。

 田圃のあぜ道には彼岸花が赤く燃え盛り、一際鮮やかにみえます。

その赤に負けないほどの黄金色の稲穂の美しさは、陽の光に映えるのとは又

違った風情があります。

 私の秋明菊も花芯の黄色、花びらの白、葉の濃い緑を雨にさらしてしっとりと。

 続く雨音はしとしとだったり、ざざーっと来たり、おしなべて静かな感じです。

 この環境の中で私が感傷的にならない訳がありません。

 しばらく瞑想して心が落ち着くと得意の空想が始まります。
 
 これこそ私の自由、誰にも迷惑はかからないしお金もかからない。

時にはにやにやしている自分に気が付いて吹きだしたり、突然涙がほろり。

 静かで優しい時間が流れ、コーヒーをいっぱい。


 それでも最後にはやっぱり二人がいいなあと思ってしまう私がいます。

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雨の日の白いプレゼント [随筆]

 雨の予報、降る降ると言いながらほんのぱらぱら、今日も降らなかったら

もう駄目。ご近所のみんなと空を見上げて溜息ついていました。

 ところが夜中雷交じりの雨が降り出しました。いつもなら恐い稲光も平気です。

 嬉しくて窓を開けてみました。瓦屋根に弾ける雨が音をたてて流れています。

本当に雨らしい雨は一カ月振りでしょうか。

 朝になっても雨は降り涼しい、三十度を切るのも多分一カ月振りの二十八度。

私生き返りました。昨日まで体がだるくてエアコンの中でぼーと座っていました。

 玄関に出てみると、暑さの中でしっかりと茎を伸ばした十本ほどの秋明菊の

白い蕾が、雨の中で膨らんでいます。

 どんなに暑くても季節を感じ花を咲かせる自然の素晴らしさ、この花に一入の

想いがある私は、しばらく感慨にふけってしましました。

 庭の木々も待ち焦がれた雨に勢いを取り戻したように緑色の葉が濡れて

しっとりと秋の風情がもどったようにみえました。

 元気の出た私は台所の片付けをしようと思いたち、戸棚や引き出しの整理を

始めました。雨は峠を過ぎて時々小止みになったり、雨音が消えたり。

 窓も勝手口のドアも網戸にして、心地よい風に仕事ははかどりました。

一休みしようと椅子に座った時、網戸の向こうに白いものがみえました。

地面から三十センチほどの網戸からまっ白い仔猫が真っ直ぐ私を見ています。

 身じろぎもせずにこちらを見ています。まだ大人ではない大きさで、恐がって

いる様子もありません。

「どこから来たの。こんにちは」野良猫は時々みかけることもあったのですが

こんなにじっとしているのは珍しい。まんまるい目が可愛くて、つい携帯写真

撮りました。

 それに驚いたのかすーっといなくなりました。その間「にゃー」とも鳴かずに

犬派の私を和ませてくれました。雨降りに一人で黙々働いているばあさんが

可哀そうだったので、ちょっとお相手してくれたのでしょう。

 犬派の私ですが、何だか楽しくなり猫もなかなか良い.....と思ったり。

 夕方になり雨はすっかりあがりました。薄暗くなってから外に出て涼しい風に

吹かれて裏の辺りを歩いていて、お隣の庭の白い芙蓉の花を見つけました。

 薄暗がりのなかにいかにも夏の風情でやさしさが漂っていました。

しばし見とれたことは言うまでもありません。

 たった一日の雨で体も心も元気になった気がしてしまう単純な私です。

 明日も頑張ろう!


 
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九月の風が胸に冷たく哀しいのは [随筆]

 待ち焦がれた虫の声を今朝がた聴きました。

あの賑やかな蛙の合唱といつの間に交替したのでしょう。

 今年の夏の暑さは尋常ではありませんでした。終日エアコンの中にいると

朝には今まで感じたことのない倦怠感に襲われて、頭も体も自分の思うように

働きません。

 病気かとも思ったりしたけれど、涼しくなったり友だちと会ったりすると元気が

出るところをみると、そうでもないらしい。

 ただひたすら涼しくなる日を待っていた私。

 ほぼ一カ月振りの雨らしい雨が降って嬉しくて、飛び跳ねたいるんるんの私。

 そんな私を一撃のもとに谷底に突き落とす知らせが来ました。

 Fさんが亡くなった.....。

彼はその昔、速記の勉強をしていた頃の仲間です。仕事が終わってから夜間

学校で年齢も性別も違う人たちが集まって、速記士を目指していました。

 楽しかった二年間、誰も専門の速記士にはなれなかったけど、何故か気の合う

五人組ができました。アルバイトでは、都合のつく人何人かが組んで、随分色々な

所へ速記士然として出かけて仕事をしました。

 後の反訳にどれぼと苦労をしたことか、それでも三人寄ればなんとか....:

 アルバイト料が入ると、食事をしたり映画をみたり、これぞ楽しい青春でした。

 その後はそれぞれの道に進んだので、年賀状で近況を知るくらいの付き合い

になりました。

 二十年も経ったころ偶然再会して奥さんも速記をしていた人だったと知り、

親しくしていました。

 十年位前に病気になり、二人で頑張っていたのに、本当に残念です。

 
 この春から半年ほど何回電話をしても連絡が取れない友だちがいました。

 昨年の私の病気の時もお見舞いに来て下さって、元気になったら食事しょうと

約束していた友です。
 
どうしたのかしらと、心配しつつ夜ならと電話してみました。

 「もしもし」いつもと変わらぬ声を聞いてほっとした私に、彼女は想像もしなかった

辛い事実を話してくれました。

 突然脳梗塞で倒れ、四カ月も入院してやっと退院したところだと。

 胸がどきどきして、一瞬言葉がみつかりませんでした。それでも元気になって

よかったと言う私に彼女は静かな口調で

「今は右半身動かない。補助具なしでは歩くことも出来ないのよ。苦しいリハビリに

耐えてやっとここまでになったけれど、こんなことなら助からない方がよかった.....」

 私は何も言えませんでした。涙がぽろぽろとこぼれました。

 彼女は可愛くて聡明で私の自慢で憧れの友なのです。優秀な二人の子供さんの

手がはなれてからは、公民館活動や民生委員も引き受け、今や地域ではなくては

ならない人材です。

 自分のことで手いっぱいの私に「貴女も何かやりなさい」とよく言われたものです。

 すぐに飛んでいきたい私でしたが彼女は喜ばないでしょう。

 「良くなったら食事しましょう」なんて絶対に言えません。

 幸い優しい旦那様がお元気なので、二人ならきっと一緒に歩いて行けるでしょう。

 今のところ私は黙って見守り祈ることしか出来ない気がします。


 一年振りくらいに、今私が一番信頼し頼りにしている友から電話がありました。

 彼と私たち夫婦とは若い時からの友なのですが今は遠くに離れていて、五年前

奥さんを亡くされたとき以来会っていません。

 嬉しくて「久し振りですお元気ですか。」つい私も声が弾みます。

 彼は昨夜私の夢を見た。本当にいい夢だったので声が聞きたくなったのだと。

 そして十分ほど一緒に住んでいる子供さんのことなど近況を話し合いました。

 「ところで彼は元気かね。」

えっ! 何? 私は一瞬うろたえました。彼は私の弟のこともよく知っていたので....

 でもそんなわけありません。

「彼ってだれのこと?....」まさか。すぐに返事はありません。

「もしかして夫のこといってるの。彼は亡くなったのよ。奥さんと二人で来てくれた

でしょう。」

 「ああごめんごめん。そうだったなあ。忘れていたんじゃないんだが...」

 なかなか会えないけどせめて電話でてもまた話しましょうと電話を切りました。

 彼が夫のことを忘れていたとは思いたくありませんでした。

若い時からの私たちを一番理解していてくれた先輩夫婦だったのだから。

 それでも彼ももう八十六歳です。ぼっかり忘れることがあってもおかしくはない。

 私は人が年を重ねることの残酷さを思わずにはいられませんでした。


 私の好きな秋の足音がもう聞こえてきたのに、夫の秋明菊の白いつぼみが

膨らんできたのに、私の胸のなかでは冷たい風がそよりとゆらいでいます。




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一人で生きていくということ [随筆]

 連日の猛暑のなか、また新しい一日が始まります。

日は変わっても私の毎日にさしたる変化もありません。今はオリンピックに熱中

日本選手の活躍が素晴らしくて、明け方まで頑張るので寝不足が続いています。

 エアコンの効いた涼しい部屋で手が赤くなるほど拍手をしたり、ときには大声で

応援しても、うるさいと文句を言う人もおりません。

 家のことに関しては庭の木の水やりも、延びて来た雑草を何とかと思うだけで

自分でなんとかしょうという気は毛頭ないノラの私です。

 そこで草引きは去年もお願いしたシルバー人材センターに連絡しておきました。

下見にきた人は私と同年代くらいの男性で、暑いので早朝来てもいいですかと

のこと、私も承知してこちらの都合の悪い日だけをお知らせしておきました。

 二、三日して朝ラジオを聴きながらうとうとしていると、下の方でごそごそと作業を

している気配がします。

 わが家の斜め後の土地で野菜を作ってい人がいて、作業をする時は朝早くから

バイクでやってきて夕方まで働いています。その人が来ているのだと思いました。

 しかしどうももっと近くで音がします。えっ! もしかしてわが家? 私は飛び起きて

下りて行きました。

 なんとわが家の庭でおじさんが作業しているではありませんか。

何の連絡もなかったので驚きました。車庫のカンヌキも上手に開けて涼しい木陰で

草引きを始めていました。

 「お早うございます。早かったので声もかけませんでした。」と笑っています。

 二時間くらいせっせと作業をして、続きは明日にしますと帰って行きました。

 次の日は私も早起きしておじさんを迎えました。

 庭には所せましとプランターや植木鉢がいっぱいあります。正確には元は全部

花や木が植わっていたのです。これらの鉢から土を出してきれいにして貰えない

かとお願いしました。

 おじさんはこんなにたくさん花を作っていたのに枯れてしまったんだねえと言い

たげに私をみていました。

 今はベゴニアや君子蘭やシンビジュウムのような強い生命力のあるものだけが

水もろくに貰えないのに息も絶え絶えに生き残っています。

 それでも季節にはきれいな花を見せてくれるのです。私がやることは寒くなったら

室内にいれるだけ。

 それでもさすがに今年の暑さにはみんな葉っぱを黄色くして辛そうです。

 植木鉢の土を庭に戻して片付けると、庭は見違えるように広くさっぱりときれいに

なりました。

 大満足の私は、これからはもう少し庭に心を配らなくてはと思いました。

 おじさんは二時間仕事をして、また来年もよかったら声をかけて下さいと帰って

行きました。

 お盆の前に気にかかっていた庭の整理が出来て本当によかった。おじさんに

心の底からお礼を言いました。

 でもよく考えてみると、世の中の主婦たちはこのくらいのこと多分自分でやって

いるのでしょう。

 昔から私の仕事でないと決めつけて、夫がするのは当たり前、好きでしている

のだからと、手伝うどころか感謝さえしたことはありません。そんな私に夫は文句

ひとつ言いませんでした。諦めていたのでしょう。

 今一人になってつくづく思うのです。夫だったらどのように生きているだろうか。

 私がいなくても何の不自由もなく、食事つくりも楽しく好きなご馳走を作っている

だろう。アイロンかけだってずっと夫の方が上手だった。

 趣味も沢山あってこれからやりたいことも話してくれた。、時間を持て余してボーと

テレビをみていることんなて絶対にないでしょう。

 私が代わってあげればよかった....。

 それでも一人で生きていくということは、まして年老いて行くこれからはとてもとても

大変なんだから。

 もう面倒くさい、どうでもいいと拗ねる私に、娘が言います。

「あと三年でパパの十三回忌。そして東京オリンピック見にくるのでしょう。まだあるよ

おじいちゃんの五十回忌は後七年。ママは頑張らなくちゃ」

 ああそうだね。大好きな父と夫のためにもう一頑張り。

 ええ? 私何歳になるの。

 

 
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泣きたいほどの酷暑です [随筆]

 今日で二日続いて三十六度。その前十日ほど三十五度が続いています。

雨は日記を繰って確かめました七月十三日から一滴も降っていません。

 終日エアコンの中にいてスーパー買い物にでる以外全く外出していません。

土曜夜市も花火大会ニュースで見て、この暑いのにこれだけの人がよく集まる

ものだと感心しています。

 年のせいだけではないよ....と自分に言い聞かせつつ、この酷暑が過ぎるのを

じっと待つしかありません。

 オリンピックは睡眠不足を承知で見たいのはライブで見ているけれど、いつも

ほど元気がなくて、明け方に絶叫応援していたロンドンが懐かしい。

 今は拍手するのが精一杯。

 こんな様子だから庭の鉢植えは全滅寸前、恨めしげな夫が夢に出てきそうです。

 先日も朝の八時頃チャイムが鳴るので出てみると、隣の奥さん

「ねえ椿が枯れかけているじゃない。私いつも楽しみに見せてもらっているのに

お水くらいやったらどう。」

 実は私も気になっていました。この間から黄色くなった葉がパラパラ落ちているし

ああ水やらないと大切な椿なのにと思いつつ、そのままになっていました。

 水はすぐ側にあるのに....と咎めるような奥さんの目に少しばつが悪いと思いな

がら「はい分かりました有難うございますお水やります」とお礼を言いました。

 春になったら紅色と白に咲き分けて私を優しい気持ちにさせてくれる大切な椿の

木に心のなかでごめんと謝りました。

 でも庭木に水をやるのも大仕事、夏の夕方には蚊取り線香を腰にぶら下げて

毎日庭で長い間水やりをしていた夫の姿を思い出しました。

そして私には「あれほどのことは出来ん」と呟いています。

 要するに私はのらなだけなのです。

 この暑さがいつまで続くのか、明日もまた晴れで降水確率ゼロパーセント最高

温度三十六度の予報です。

 せめて熱中症にならないように水分を取りつつ、とろーんとしている私です。
 

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蝉たちと仔猫の話 [随筆]

 朝方猛烈な蝉の合唱で目がさめました。

ここは古い団地で七十戸ほどの家に庭木が茂っています。でも近くに山はないし

これほどの蝉がいるのかと毎年夏になると、私は考え込んでしまうのです。

 今朝はまた格別の賑やかさで、その声を楽しむなんて気にはなれません。

 ただ今日も朝から暑そうで嫌な感じで、まだ起きるのは早いしと目をつぶって

いました。

 すると屋根瓦の上をみしみしと歩く音がします。二階で寝ている私のすぐ近くで

それも複数いる感じ。

 私は北の窓をあけて覗いてみましたが犯人の姿は見えません。

南のベランダの方へ回ってみると、まさに屋根からベランダへ足を踏み入れつつ

ある犯人と目があいました。

 一瞬の睨みあい、「こらっ!」 と叫びたいのに私は思わず見入ってしまいました。

なんてきれいな仔猫ちゃん。可愛いというより白とグレーのツートンカラーのからだ

 目はきらりと鋭く光っているのに気品があってツンとすまして私を見ています。

見ているのではなくて、多分驚いて動けなかったのだと思います。

 一瞬の後転げるように姿がみえなくなった途端「こらあー」という隣のご主人の

大きな声が聞こえました。

 そう言えばつい先日のこと隣の奥さんから電話が来て

「うちの庭に猫が四匹もいるのよ。お宅の庭から来たところを見たのだけど.....」
 
 そう言われてもわが家の飼い猫でもないし、私は犬派で猫はイマイチだといつも

言っているのを彼女も知っているはずです。

 どうもわが家の物置の中辺りで野良猫が子供を産んだのでは.....と言いたそう。

 物置は鍵がかけてあるし中には入れないと思うけどと言う私に

「猫は地面を掘ってでも入りたい所へははいるのよ」

 少しいらいらしてきた私は

「それなら残念わが家の物置は、周囲をコンクリートで固めてあるから」

 別に喧嘩をしている訳ではないので奥さんも

「そう、それなら入れないね。でも困ったものだわ。」と笑いました。

 まあ野良猫は仕方ないね。餌など絶対にやらずに知らんぷりしていれば

出て行くでしょう。

 私なんか車庫で寝そべっている猫ちゃんに何回言ったか。

家賃も払わずに、なんでそんなところで大きな顔して寝そべっているの?」

 
 また暑い暑い一日ににりそうです。蝉の声にも元気を頂きましょうか。




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