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二百円の極楽 [日記]

 朝目が覚めた時今日はいつもより寒いなあと感じました。
窓を開けるとさっと冷気が入ってきて確かに冬の気配。
 平年より暖かいと天気予報は毎日嬉しいことを言ってくれるし今日も快晴です。
午前中の予定を終えてお昼の食事をしながら考えました。
朝思ったほど寒くもないし、午後の予定もない私閃きました。
 温泉へ行こう。

 バイクで十分薄手のダウンを着たので寒くもありません。
 真昼の温泉街は平日なのに観光客もそぞろ歩いて楽し気な雰囲気でした。

 市民が本館とよぶ一番古い建物は来年から大修理がはじまります。

その代わり今年それに代わる新館がオーブンしました。飛鳥時代を模した素敵な建物です。

 私が行くのは市民が愛用の温泉でここも今年リニューアルオープンしていい感じです。
館内は閑散としてオバアサンが六人。皆さんいかにも幸せそうな顔をして平和そのものです。
 ゆっくり湯舟に体を沈めて、高窓から差し込む柔らかな真昼の日差しを眺めていると、
とてもとても幸せな気持ちになって少しうつ向いてひとりでに笑えてきて困りました。
普段はカラスの行水の私ですが、ここではゆっくり髪も洗って体も念入りに....
湯舟の中の温泉が出ている湯口では肩やら腰やらを勢いよくでてくるお湯に打たせてご機嫌。
待っている人もいないから自分専用で嬉しい。実は私足も腰も痛いところはないのですが。
相当頑張ったつもりでも出てみると二十分くらいしか経っていません。
 脱衣所にも四、五人しかいなくてゆっくり休みました。
ぽかぽかと暖かい体は本当に気持ちよく生き返った!と言えば大げさだけどそんな感じでした。

 帰りのバイクの心地良かったこと。
もっと近ければ、車の運転が出来れば、そしてそして彼がいたら毎日でもいけるのになあ。
思いついたらすぐ二人で飛んで行っていた日々日を思い出してしまいました。
 
 冬がそこまで来ている日の幸せな私の午後でした。






 


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霜月を重ねて

 今朝の風は優しくて霜月とは思えぬ暖さに少し嬉しい。

それでも玄関先で九月半ばから私を楽しませてくれた秋明菊はもう五輪が咲き残っているだけである。
寄り添うように風に揺れる白い花が心細げでとても切ない気持ちになってしまう。

 先日剪定した庭は明るくなって、廊下から黄色いつわぶきの花が咲いているのが見える。
すっきりした庭に降り立ってみた。そして隅っこにある山茶花のピンクの花を見つけた。
 毎年山茶花は散った花びらを見つけて、あれっ、いつの間にと思うほど知らぬ間に咲いて
私を残念がらせる。
 今年はしみじみと近くで眺めた。一重のはなびらの可憐なこと。

   私の庭の山茶花をそっと折り取る小さい手
   何故に一言その花をくれよと言って下さらぬ
   私は詩人は花に添え書いた歌まであげように

 遠い遠い昔大好きだった西条八十の詩が突然浮かんだ。もっと長くて素敵な詩だったのに
いくら考えてももうこれ以上は出て来なくて情けない。

 夫が作った濡れ縁にしばらく座っていた。庭の木はすべて彼が丹精こめたもの。半世紀の
時を経てみんな大きくなった。隣に彼が座っていないのが悔しい。

 十一年たっても一人に慣れることが出来ない私。
一人でいること、一人ですることにはもう慣れた。何もかも一人でやる。
泣きながらやっていた諸々のことも、いまでは笑いながら、歌いながらやれる。
逞しくはなったけれど、残念ながら年をとった。体が気持ちについてこない。でも年のわりには
元気だと秘かに自慢している。まだ生きているのだから。
 そうでしょう。十年経った昨年私決心した。
 一人になってこの世になんの未練もなくなって、自分のことしか考えなくて彼が迎えに来て
くれることばかり考えていた。早く来て早く早くと。
 三年前の病気の時今度こそきっと.....。と思ったのに音沙汰なし。

 その間子供たちの気持ちや、仲良しの友の思いにも触れて、「もう止めた!」待つのは止めた。

 同い年の古い友だちの誰一人として、不思議なくらい「死」のことなどを考えてない。
皆さん旦那様がお元気だからかも知れないけれど、まだ死なないと思っているようだ。
その証拠に「死ぬ」話をするとみんな機嫌がか悪い。
 そうだ、死ぬまではみんな生きているのだから、そう焦ることもないか。


 私は彼を信じて幸せな人生を歩いて来た。感謝こそすれ恨むなんて絶対駄目。
 明るくて真っすぐなところが貴女のいいところ。ずっと昔そう言ってくれた。
 そしてあの時から変わぬ彼も私の中でいつも笑っている。それでいい。
 
 重ねた霜月、愛おしい霜月、夢見る夢子さんの独り言。いつまで続くのでしょうか。 


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